2012年12月22日土曜日

論文が「総合リハビリテーション」に掲載されました

修了生の栗田泰成です。この度,研究論文が「総合リハビリテーション」に掲載されましたのでご報告致します。
「大腿骨近位部骨折術後回復期リハビリテーションにおける二重課題トレーニングの効果」
栗田 泰成,天野 麻美,大城 昌平
総合リハビリテーション(2012),40巻12号,pp1547-1554

本論文は,現在,高齢者骨折の中で問題となっている,大腿骨近位部骨折術後の回復期に焦点をあて,二重課題トレーニングを用いてランダム化比較試験を実施しました。これは,自己の臨床経験も含め,大腿骨近位部骨折の術後リハビリテーションに対する考えや入院中の認知機能も含めた廃用症候群への対策,退院後の再転倒を防止する理学療法の探求より始まりました。結果として,この時期における標準的なリハビリテーションに追加した二重課題トレーニングが,対象者の認知機能の維持・改善に有効であることが示唆されました。今後は,より具体的な負荷設定やその後の転倒に関する効果検証の必要性を感じています。

今回,修士論文の統計解析などを見直し,約1年6ヶ月をかけて論文を受理していただきました。本論文が完成できましたのは,大城昌平教授が惜しみなくご指導くださったおかげであります。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。そして,本論文にご協力いただきました常葉リハビリテーション病院の患者様,スタッフの皆様,理学療法開発学関係者の皆様に感謝申し上げます。

今後も臨床の第一線で求められるような,そして患者様に還元できるような研究であることを目標に,日々の疑問についての探求継続を実行していきたいと考えております。

修了生 常葉リハビリテーション病院 栗田泰成

2012年12月19日水曜日

2012NIDCAPトレーニングを開催しました

新生児集中治療室(NICU)でのケアの“質”を改善し,早産児の発達予後の改善と親子の愛着形成の促進することを目的とした「発達ケア(ディベロップメンタルケア)」の取り組みが注目されています。「発達ケア」とは,児の行動観察に基づいた個別的なケア・プランとケアの提供,親子の関係性を重視した親子ケアなどからなる包括的なケアアプローチです。

今回,米国からgretchen 
Lawhon氏を招聘し,「発達ケア」の理念と実践方法を学ぶためのNIDCAP(新生児の個別的発達ケアの評価とプログラム:Newborn Individualized Developmental Care and Assessment Program)の教育トレーニングを実施しました。わが国の新生児医療の質の向上,子どもの発達,親子の関係性の改善,さらに両親の育児支援に結び付くことが期待されます。
大城 昌平


2012年12月1日土曜日

第57回日本未熟児新生児学会・学術集会 学会賞の受賞講演 報告とお礼

11月25~27日の3日間,熊本で開催されました第57回日本未熟児新生児学会・学術集会へ行ってまいりました。今回はいつもの参加や発表ではなく,学会賞の受賞講演をさせて頂きました。

大城先生の元で学ばせて頂き,5年が経過しようとしています。「NICUの早産児と痛み」をキーワードに研究をしてきました。その結果の報告からこのような学会賞と講演の機会を頂き,大変貴重な経験となりました。

大城先生をはじめ,研究にご理解とご協力を頂きました多くの方々,お子様とご家族にお礼を申し上げます。
D3 本田 憲胤
日本未熟児新生児学会賞


聖隷クリストファー大学HPのニュースでも取り上げられています。

2012年11月26日月曜日

修了生の今 (田中先生,ご結婚おめでとうございます)

田中俊輔先生,映里さん,ご結婚おめでとうございます。お二人の新しい門出を祝福いたします。

この度,修了生の田中俊輔先生(菊川市立総合病院)がご結婚されました。心よりお祝い申し上げます。お二人が幸多き人生を歩まれ,お幸せで温かな家庭を築かれることを願っています。ご家庭をベースとして公私ともに充実し,さらに理学療法(学)の道に励まれることを期待しています。

結婚式の写真です。目を見張るほど美しい奥様です。披露宴は田中先生らしく,おもてなしの心のこもった感動的な式でした。
大城 昌平



2012年11月24日土曜日

第1回日韓合同カンファレンス 参加報告

11月17-18日に長崎県で開催された第1回日韓合同カンファレンスで発表を行いました。日本理学療法士協会と韓国理学療法士協会による初の合同学会であり,日韓両国から多数の理学療法士が参加していました。臨床家,教員,学生,協会役員など,様々な立場にある参加者がそれぞれの視点から行った研究結果を発表し,会場中で熱いディスカッションが交わされていました。当研究室からは2名が参加し,以下の内容でポスター発表を行いました。

佐藤慎(D1):Falls following during the early post-hospitalization period and its risk assessments before hospital discharge.
昨年の東海北陸理学療法学術大会で発表した内容の第2報という形でまとめたものです。回復期病棟退院後早期の転倒発生には注意配分能力(二重課題)が関係しており,今後の理学療法プログラムに二重課題トレーニングを取り入れる必要性が示唆されたというものです。他の演題も転倒予防に関する報告が多数あり,実りのある機会となりました。

合田明生(D1):Skin blood flow influences cerebral blood flow measured by Near-Infrared Spectroscopy during physical exercise in humans.
近赤外線分光法という手法を用いて運動中の脳血流を測定した際に,測定データに皮膚血流の影響がどの程度あるのかを検討した研究です。本研究の結果,運動中の脳血流測定データには強く皮膚血流が影響しており,何らかの解析で皮膚血流の影響を除去する必要があることが示唆されました。理学療法士が用いる運動介入が脳にどのような影響を与えるのかを検討していくために,今後も研究を継続していく必要があると思いました。

今回の学会で頂いた質問・意見,新たな出会いを大切にし,今後の研究活動に繋げていきたいと思います。最後に,ご指導を頂いた大城先生,日頃支えて下さっている職場の皆様に感謝いたします。

D1 佐藤慎,D1 合田明生
左:合田,右:佐藤

2012年11月21日水曜日

Samuel Merritt University(SMU) 訪問報告

2012年11月5日(月)から9日(金)に,米国サンフランシスコ(バークレー)にあるSamuel Merritt University(SMU)を訪問してきました。目的は,本学と同様の学部と学科を備えるSMUとの交流を図るための視察です。

SMUには,医学部,看護学部,理学療法学部,作業療法学部,足病学があり,私は理学療法学部を中心に視察をしてきました。理学療法学部は,1990年に修士入学レベルで開設され,2002年からは博士入学レベルとなっています。入学生は,学士(Bachelor)以上の学位(分野は問わない)を有し,博士課程での理学療法士の養成(Doctoral degree in Phyisical Therepy;DPT)が行われます。これは,米国理学療法士協会(APTA)が理学療法士の教育を博士レベルと定めたことによります。教育課程は,3年制の3セメスター制(春・夏休みなし)で,カリキュラムは臨床中心の理学療法専門科目に特化しています。

教育内容で感心したことは,1つはcomputer-based learningです。学生はタブレットやPCを持って授業に参加し,それにテキストや事前配布の講義資料がインストールされ,授業の事前・事後学習が積極的に行われているようでした。またクイズ(小テスト),レポートの提出と添削等もcomputer-basedで行われます。近い将来,本学でもこのようなcomputer-based learningのシステムが取り入れられるだろうと思いました。もう一つは,模擬患者によるシミュレーション学習を通して,臨床推論の思考が展開されていることでした。私が見学した日には,actor patients(役者が患者役を演じる)によるシミュレーション学習が行われていましたが,なぜそのような問診,検査,治療を選択したのか?臨床推論過程を的確に口述するよう学生は求められ,ビデオ撮影の結果がフィードバックされていました。3つ目は,各セメスターに臨床見学と実習が配置され,臨床を重視したカリキュラムなっていることです。学内には,専属の臨床コーディネーターがいて,臨床施設との連携が図られていました。実習地であるAlta Bates Summit Medical Center を訪問しましたが,臨床指導者の教育指導に対する認識が高いという印象でした。またこれら学ぶことも多い一方で,本学の教育内容や研究レベル,教育に対する教員の情熱は決して,SMUに引けを取らないとも感じました。

今後の交流については,教員間交流(教育や研究),学部生の学生間交流・臨床経験,大学院生の研究・臨床交流などを推進する予定です。SMU等への留学を検討していただきたいと思います。
大城 昌平
SMUのPT教員と一緒に

2012年11月17日土曜日

第28回東海北陸理学療法学会 参加報告

11月10-11日に三重県四日市市で開催された第28回東海北陸理学療法学会 in Mieで発表を行いました。東海北陸地域の理学療法士が一堂に会し,日頃の研究や臨床の成果を発表し合い,大変盛況な大会となりました。

私は,「ヒトの中強度有酸素運動による脳由来神経因子の反応に関する研究」というテーマで発表しました。この研究では,脳の可塑性を促進し認知症の予防に寄与するとされる脳由来神経栄養因子の運動時の分泌反応を、健常男性を対象に調査しました。結果から,日本人の反応は欧米人のものとは異なる可能性が示唆され,運動強度や期間を変えた更なる検討が必要であることが示されました。発表後には質問や貴重なコメントも頂き,有意義な経験となりました。

この結果を発展させ,認知機能に対する運動介入のエビデンス構築に寄与できるよう,引き続き研究活動を継続していきます。

最後になりますが,研究指導を頂いた大城昌平先生,データ測定にご協力頂いた本田憲胤先生,支援して頂いた職場の皆さまに感謝申し上げます。

D1 合田 明生
第28回東海北陸理学療法学会 (右:合田)

2012年11月15日木曜日

中国重慶市小児学会設立大会 出席報告

10月25-27日,日中関係が緊張するなか,中国重慶市小児学会設立大会に招聘され出席してきました。民間での交流を通じて,日中関係の改善が図られることを希望しての訪問でした。

重慶では,史教授(大坪病院小児科教授)はじめ皆様の温かな歓迎とおもてなしを受け,感動とともに大変有意義な訪問となりました。大会では,「Developmentally supportive care on the outcome for preterm-born infants」と題した講演を行いました(以下にアブストラクトを示します)。

日中の相互理解が進み,学術や医療面での相互交流が発展することを期待します。また,今回ご同行いただきました本学 顧寿智教授に深く感謝申し上げます。

大城 昌平

Lecture Abstract: Today, more than 95% infants born before 28 weeks gestation, and under 1250 grams, survive. Infants born at 24 weeks have a survival chance of about 50% in modern tertiary care centers. Preterm-born infants experience a range of adverse physical, behavioral, and mental health problems. Previously it was believed that in the absence of major complications (large intraventricular hemorrhages, significant chronic lung disease, severe intrauterine growth restriction; necrotizing enterocolitis) over time these children would 'catch up'. Recent research suggests however that as preterm-born infants mature they remain and often become increasingly disadvantaged on many measures of neuro-cognitive function and processing. It is becoming increasingly clear that it is not enough to assure the survival of preterm born infants. The quality of life is a key responsibility of the professionals working in newborn intensive care nurseries. Care for preterm-born infants that goes beyond the assurance of survival and takes seriously the assurance of optimal outcome in the long term, requires thorough knowledge and understanding of the immature infant’s neurological and neurobehavioral development. This presentation provides a framework for the delivery of care from a neuro-developmental perspective, and the effects of individualized developmentally supportive care on the outcome for children born preterm.



2012年11月6日火曜日

生活生命支援医療福祉工学系学会連合大会2012 参加報告

11月2-4日に名古屋で開催された「生活生命支援医療福祉工学系学会連合大会2012」で発表を行いました。

この学会は,医療工学や福祉工学といった工学分野での内容が主となる学会でした。例えば,腸ファイバーや人工血管などの開発に関わるセッション,ロボットスーツHALなどのロボット工学分野,血流測定器などの生体流体工学分野など.実に多彩な内容でした。参加者も多くは工学者や工学系院生,機器メーカーのスタッフなどでした。

私のセッションは,「医療・福祉・保健の現場で役立つリスクアセスメントとニーズ」というテーマで,役割は現場の状況を聴衆に伝えることでした。よって,発表テーマは「当院回復期リハビリテーション病棟における,転倒状況と身体活動について」とし,病院でのデータを用いて転倒の現状,リスクアセスメントとニーズについて報告を行いました。いくつかの質問もいただけましたので,充実した発表になったと思っています。

様々な転倒予防機器が開発されているにも関わらず,病院内では思ったより多くの転倒が発生していることから,今後も新たな機器の開発が望まれることも伝えさせていただきました.同じセッションにはテルモの方,障害者(筋ジス)の方などの発表があり,バラエティーに富んだセッションとなりました。

今回の発表にあたり,病院の転倒や発生原因をもう一度見直す良い機会となりました。また,他職種の方々との交流により,いろいろな考えかたも知るきっかけとなりました。このような機会を与えて下さった大城先生,本当にありがとうございました。

修了生 JA静岡厚生連遠州病院 山下裕太郎

セッションOS2-5 「 医療・福祉・保健の現場で役立つリスクアセスメントとニーズ」
座長の山下和彦先生と発表者

会場の前で

2012年10月22日月曜日

シンガポール研修報告

9月8日から9月15日にかけて,シンガポール研修に行ってきました。

院生からの参加は私1名で,他に聖隷クリストファーの学部生20名が参加しました。シンガポールでの研修内容は,シンガポール唯一のPT・OTの学校であるNYP(Nanyang Polytechnic)を見学しました。そこでは,学校教育現場や設備について説明を受けました。また,卒業生1名とお互いの研究内容を英語で伝え,ディスカッションをする時間をいただきました。

病院見学では,急性期病院,回復期病院(community hospital),デイケアと入所の複合施設,精神科病院,職業訓練センターを見学しました。デイケアと入所の複合施設では,私の勤めている病院・施設についてスライドで紹介しました。2日間のホームステイもあり,NYPの学生宅に宿泊しました。

シンガポールには大学院がなく,PT・OTの数もまだまだ不足しております。しかし,英語と中国語を母国語としているため国際交流も盛んで,卒業後半数近くは海外へ学位を取りに行っています。医療のレベルも世界的に非常に高く,WHOでは日本より上位に位置づけられています。シンガポールでは開業権があるため,医師の指示なしで治療を行っており,責任とプロ意識を強く感じました。また,回復期病院では在院日数が短く1-3ケ月程度が通常で,早期に在宅で支援する仕組みとなっています。

非常に良い経験をさせていただきました。
M2 千葉 淳弘

2012年10月16日火曜日

すこやかリハサポート2012(1日目)を開催しました

10月6日(土)に,地域住民の皆様の健康づくりを支援することを目的とした「すこやかリハサポート」を開催しました。この事業は2009年度から継続しております。

今回は,「痛みの医学から脳と身体をリハビリサポート」というテーマで,寺田痛みのクリニック院長で医学博士の寺田和弘先生を特別講師としてお招きし,ご講演をいただきました。寺田先生のお話は大変興味深く,今回参加された方々は熱心に聴講されていました。

私は痛みの研究者の一人として,最新の治療方法から痛みの捉え方を学ぶことができ,自身の研究へ活かして参りたいと考えています。

参加されました方々からは「大変勉強になりました」という感想を多くいただきました。

第2回は,12月1日(土)に開催いたします。担当は,大城昌平先生,根地嶋誠先生です。

D3 金原 一宏

寺田和弘先生の講演の様子 (すこやかリハサポート2012)
【過去のすこやかリハサポート報告】

2012年9月20日木曜日

第13回早期認知症学会学術大会 参加報告

9月16日・17日の2日間,山梨県甲府市にて第13回早期認知症学会学術大会が開催され,本研究室からは,大城教授,奥山(D3),重森(修了生)の3名が参加しました。

本学術大会では,画像診断,法律(成年後見制度),食事(栄養),非薬物療法,看護・ケアなど,様々な立場から認知症に関する講演や研究成果報告があり,改めて認知症は社会全体で取り組むべき重要な課題の一つであることを認識しました。また,理学療法士が認知症者に対して何ができるのかを再考する良い機会にもなりました。やはり,認知症者を中心とする家族も含めたチームアプローチが基本であり,その中で専門性を発揮できるような取り組みが社会からは求められているのでしょう。

認知症者に対するリハビリテーション・アプローチはまだまだ検討していかなければならない段階にあります。今後も,意味のある研究・活動を縦断的に展開していきたいと考えています。

修了生 関西福祉科学大学 重森健太
座長風景(大城)

左:大城,中:奥山,右:重森

2012年9月12日水曜日

第14回福島県理学療法士会学術集会で学術奨励賞を受賞

第14回福島県理学療法士会学術集会にて口述発表を行い,学術奨励賞を受賞いたしました。

[演題名]
乳児自発運動の特性~正常成熟児と脳障がい児の比較~
儀間裕貴,大城昌平,守田智,畠山江美,柳沼隆之,武藤晶,遠藤敏裕,烏野大,藤原孝之,阿部康次

本研究では生後1か月~4か月までの乳児自発運動を加速度計により経時的に測定し,カオス解析によって質的な特性を検討しました。満期産の正常成熟児と,早産由来の脳障害を有した脳障がい児における自発運動の特性を比較した結果,脳障がい児では秩序ある運動の生成が困難となっている様子を捉えることができました。

本研究の結果は,ハイリスク児早期発見のための指標につながる可能性があり,発達障害を抱えるお子さんの予後を改善していくための有用なデータとなりました。

本研究をまとめるにあたり,大城教授には多大なご支援とご指導を賜りました。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

今後とも継続して研究活動に取り組んでいきたいと思います。

郡山健康科学専門学校 儀間 裕貴

2012年9月10日月曜日

「JA静岡厚生連リハビリテーション科職員研修会」で講演を行いました

9月8日に開催されたJA静岡厚生連リハビリテーション科職員研修会において,「赤ちゃんの発達から学ぶリハビリテーション治療」というタイトルで講演を行いました。

人の特徴は,二足歩行,手と道具,言語,創造性を持つことです。人はこれらの機能をどのように獲得してきたか,身体運動と手と言語の共進化・共発達に関して,系統発生(進化の過程)および個体発生(発達の過程)から学び,リハビリテーション治療学への応用についてお話しました。

リハビリテーション治療への応用ということでは,赤ちゃんトレーニングのすすめとして,赤ちゃんの運動と認知行動の発達過程が身体を軸として,自己と外界の関係性を探索する探索行動を基盤としていることから,このような赤ちゃんの発達過程を応用した赤ちゃんトレーニングが,“暗黙知の身体”を構築し,新しい自己の創発につながることを解説しました。

このような機会をいただきましたJA静岡厚生連中伊豆温泉病院の磯毅彦先生,並びに熱い視線で熱心にご聴講いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
大城 昌平


2012年9月2日日曜日

[プレスリリース]研究成果が報道されました

D3 本田憲胤氏らによる「早産児の疼痛緩和に対するホールディングケア(手当て)に関する研究」の成果は,前記事の東京新聞(web版)の他に下記媒体で報道されました。

2012年8月31日 Yahoo!ニュース
※画像はクリックで拡大します
【掲載媒体】
2012年8月30日
・近畿大学HP
  http://www.kindai.ac.jp/news_event/2012/08/post-379.html
・アットエス (静岡新聞社・静岡放送)
  http://www.at-s.com/news/detail/397742027.html
・47NEWS
  http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012083001001904.html
・河北新報 (web版)
  http://www.kahoku.co.jp/news/2012/08/2012083001001904.htm
・信濃毎日新聞 (web版)
   http://w1.shinmai.co.jp/newspack3/?date=20120830&id=2012083001001904
・福井新聞(web版)
  http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/health/617277.html

2012年8月31日
・Yahoo!ニュース
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120831-00000035-mycomj-sci
・MarkeZine
  http://markezine.jp/release/281185/

2012年9月1日土曜日

早産児の疼痛緩和に対するホールディングケア(手当て)に関する研究が東京新聞にプレスリリースされました

第16回静岡県理学療法士会において,山下先生と大杉先生の発表演題が優秀賞を受賞されました(第16回静岡県理学療法士学会 受賞者一覧)。おめでとうございます。これを励みとして,さらに検討を深めていただきたいと思います。

また,先日このブログでも紹介した本田先生の早産児の疼痛緩和に対するホールディングケア(手当て)に関する研究が東京新聞にプレスリリースされました(東京新聞記事)。
>>>その他のプレスリリース

研究結果とともに,本田先生のコメントが掲載されています。
「未熟児,両手で包むとリスク減 近畿大研究結果」記事より抜粋 解明した医学部付属病院の本田憲胤理学療法士は「低出生体重児を両手で包むのが新生児集中治療室での標準ケアになってほしい」と話している。

2012年8月30日 東京新聞 TOKYO Web
※画像はクリックで拡大します


本研究室の研究成果も質・量ともに少しずつではありますが充実してきており,また社会的評価も高まってきているように思います。研究成果を社会に還元し臨床に役立つ研究を目指して,さらに研究を推進していきたいと考えています。
大城 昌平

2012年8月28日火曜日

第16回静岡県理学療法士学会で優秀賞を受賞 (大杉)

6月24日にアクトシティ浜松(浜松市)で開催されました第16回静岡県理学療法士学会(HP)で,修了生の山下裕太郎さんと博士後期課程の大杉紘徳さんが優秀賞を受賞しました。

山下さん(記事)に続いて,大杉さんから受賞の声が届きましたので,ご紹介します。

第16回静岡県理学療法士学会において「二重課題トレーニングによる前頭前野機能への効果」というテーマで発表し,優秀賞を受賞することが出来ました。

[演題名]
大杉紘徳,栗田泰成,大城昌平
二重課題トレーニングによる前頭前野機能への効果

私はこれまで光トポグラフィを用いた脳機能に関する基礎研究を主題として研究を行ってきました。今回は,共同演者である栗田先生(理学療法開発学修了生)にご協力いただき,臨床実践研究と基礎研究の成果をまとめて発表しました。
 
今回の報告は,臨床実践によって得られた結果を基礎研究によって裏付けるという二つの研究を併せて報告しています。二重課題トレーニングを行うことで認知機能の向上が得られること,また,二重課題実施時には注意機能に関連した脳活動が生じていることが示され,認知機能への介入効果を示すことが出来たのではないかと思います。

基礎研究のみでは実際に患者様への効果は示すことが出来ず,また基礎研究なしでは介入の効果を科学的に明らかにすることが出来ないと考えています。これからも基礎研究,介入研究双方を大切にして研究活動を進めていき,患者様へ少しでも還元できるよう努めていきたいと思います。

研究を丁寧にご指導いただきました大城先生ならびに,データ測定や発表に多大なご協力をいただいた栗田先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。

D3 大杉 紘徳

2012年8月27日月曜日

第16回静岡県理学療法士学会で優秀賞を受賞 (山下)

6月24日にアクトシティ浜松(浜松市)で開催されました第16回静岡県理学療法士学会(HP)で,修了生の山下裕太郎さんと博士後期課程の大杉紘徳さんが優秀賞を受賞しました。

まずは,山下さんの受賞の声をご紹介します。

私の修士研究テーマである,「大腿骨近位部骨折患者における睡眠状態が精神・認知・運動機能へ及ぼす影響」をまとめ,第16回静岡県理学療法士学会にて発表した結果,優秀賞を受賞することができました。

[演題名]
山下裕太郎,大城昌平
大腿骨近位部骨折患者における,睡眠状態が精神・認知・運動機能へ及ぼす影響
-入院中から退院後の変化に着目して-

発表では,大腿骨近位部骨折患者の睡眠状態は術後から退院後にかけて低値を示すと共に,精神機能に影響を及ぼし,ADLにまで影響を及ぼす可能性があるという結果を示しました。理学療法士として,日中の運動や身体機能ばかりに目を向けるのではなく,精神や身体の回復機能,学習機能を司る睡眠にも目を向けていく必要があるのではないかと考えています。

これまで研究にはほとんど無縁だった私が修士の門をたたき,大城先生の指導のもと,3人の同級生ともがきながら2年間の修士生活を終え,県学会で優秀賞という結果が残せたことは,自分にとっての財産です! 

今後は静岡県理学療法士会学術誌の投稿論文を作成するとともに,臨床家の目線から,臨床に生かすための研究活動を続けていきたいと思っています.丁寧にご指導していただいた大城先生,院生生活を支えあった3人の仲間達,本当にありがとうございました。そして,これからもよろしくお願いします。

修了生 JA静岡厚生連遠州病院 山下 裕太郎

2012年8月18日土曜日

修了生の声 [近況報告] (飯尾)

夜な夜な通った院生室ですが,最近はめっきり顔を出すことが減ってしまった修了生の飯尾です。大城先生のもとで修士課程を修了してからあっという間に2年が経ちました。
苦楽を共にした同期メンバー
私は,浜松市中区和合町にある浜松市リハビリテーション病院(180床;うち,回復期88床)に勤務しております。4年前にPT18人からスタートし,今年4月にはPT38名の大所帯となりました。(H26年に新館完成となり今後も規模拡大予定!?)1~5年目までが大多数を占める状態の中では必然的に教育係となるわけですが,当時の大城先生の丁寧な指導を思い出しながら根気よくスタッフと向き合っている今日この頃です。臨床では今年4月より院内での配属が変わり,呼吸障害・嚥下障害の患者様を主に担当することになりました。この分野は私にとっては未知の領域であり,日々,手探り状態で勉強しています。(全身状態に合わせて運動療法を行いますが,漠然と良くなる身体機能をどうにか数値化できないものか??と日々,頭を悩ませています。)

余談ではありますが,最近は夏休みのためか,中学生・高校生・(就職希望の学生)が職場見学にやって来ます。次の世代が育っているんだなぁ・・・と時代の流れを感じながら,さてさて,彼らにどうやって『PTになりたい!』と思わせようか・・・ とニヤニヤ楽しんでいます。

開発学メンバーの論文掲載の知らせやオリンピックの舞台裏で活躍しているPTの姿をみて,私も負けていられないなと感化されました。2年間の充電期間(冬眠期間?)を終了し,研究活動を進めていきたいと思います。目指せ!来年の全国学会!

今後ともご指導の程,宜しくお願いいたします。

飯尾 晋太郎 (2010年3月 博士前期課程修了)

「第5回 Fukushima Child Health 勉強会」で講演を行いました


過日,郡山健康科学専門学校の儀間裕貴先生のお誘いで「第5回 Fukushima Child Health 勉強会」(福島)にて,「赤ちゃんの行動を見つめる ~新生児ケアの向上のために~」と題した講演を行ってきました。竹田綜合病院の渡邉真生先生のお声掛けで,NICUの医師・看護師の参加もありました。講演では,早産児の行動発達と観察方法および発達ケアについてお話しました。趣旨は,「赤ちゃんの行動理解から,やさしいケアが学習障害や行動異常の原因となる高次脳機能障害を防ぎ、前頭前野の適切な発達を促す」というものです。その夜は,会津の地の物とともに,竹田綜合病院の赤ちゃんへの温かなケアの様子を伺うことができ,大変良い機会に恵まれました。

次の日は,郡山健康科学専門学校で「リハビリテーションのための人間発達学 -人の運動と脳と心の発達-」と題した講義を行いました。理学療法学でも,自然人類学や文化人類学的な視点から人を観る教養を身につけることが必要と思われます。人間理解と子どもの発達に対する関心が深まれば大変嬉しく思います。

儀間先生にこの機会をいただき,心より感謝いたします。

大城 昌平

2012年8月12日日曜日

論文が「日本物理療法学会会誌」に掲載されました

修了生の喜納です。先日の記事でも少しお話させていただきましたが,この度,修士研究の内容が「日本物理療法学会会誌」に掲載されました。

痛みの感覚的評価と神経生理学的反応の関係 -電気的皮膚反射(GSR)と近赤外線分光法(NIRS)を用いた研究-
喜納将克,金原一宏,大城昌平
日本物理療法学会会誌 第19号 pp37-43 2012

本論文では,痛みの情動・認知的側面をGSRとNIRSという神経生理学的反応で評価できるかを検討しました。健常成人男性を対象に同一強度の電気刺激を加え,痛みの感じ方が高値群と低値群で神経生理学的反応がどう変化するかを比較しました。結果は,高値群の方が神経生理学的反応が高い傾向にありました。これは,扁桃体を中心とした神経回路が関係していると考えられます。しかしながら,GSRとNIRSを評価尺度としていくには更なる検討が必要となります。

最後に,この論文掲載は,大城先生と金原先生をはじめ,研究にご尽力頂いた全ての方々のお陰だと思っております。大変感謝しております。これからも,一つ一つ前に進んでいきたいと思います。

修了生 みやもと医院 喜納 将克

痛みの感覚的評価と神経生理学的反応の関係
-電気的皮膚反射(GSR)と近赤外線分光法(NIRS)を用いた研究-

2012年7月29日日曜日

論文が「Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed」に掲載されました

大学院博士後期課程 本田憲胤さんの論文が,胎児・新生児医学分野で著名な英国雑誌である「Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed」に掲載されました。

Effect of therapeutic touch on brain activation of preterm infants in response to sensory punctate stimulus: a near-infrared spectroscopy-based study. 
Noritsugu Honda, Shohei Ohgi, Norihisa Wada, Kek Khee Loo, Yuji Higashimoto, Kanji Fukuda
Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed fetalneonatal-2011-301469Published Online First: 21 July 2012
(http://fn.bmj.com/content/early/2012/07/20/archdischild-2011-301469.abstract)

早産児への不快刺激,特に疼痛刺激は脳の発達障害,そしてそれに起因する発達障害の要因となります。本研究は,早産児の治療やケアにともなう疼痛緩和のための徒手的な包み込み(ホールディング)の効果を,NIRS(光トポグラフィ)などを用いて,脳血流変化などを指標として検討しました。結果から,赤ちゃんをやさしく包み込むことが,前頭前野および感覚運動領域の脳血流増加を軽減させ,脳血流の急激な変化を抑制することが証明されました。このことは,赤ちゃんへの優しい徒手的な包み込みが,児の脳を守り育むケアに,そして将来の発達障害の予防につながる可能性があることを示唆しました。
理学療法開発学では,赤ちゃんから高齢者までを対象として,脳と運動や認知行動についての研究を行っています。ブログでも研究成果を紹介していきますので,ご期待ください。 
大城 昌平

2012年7月22日日曜日

修了生の声 [私なりの理学療法開発学] (喜納)

皆様こんにちは。理学療法開発学 修士課程第3期修了生の喜納です。この度は,私の最近の思いを執筆させて頂きます。

私の大学院での研究テーマは,『痛みと脳』についての関係でした。私は,整形外科に勤務している関係上,痛みを訴える患者と接する機会が非常に多く,痛みの感じ方に個人差があることを不思議に感じていました。「同じ障害部位でも,全く痛くない人もいれば,日常生活が困難になるほど痛がる人もいる,この差は何だ??」そんな臨床的疑問が,私の研究テーマの出発点でした。大学院に入学し,痛みの研究論文を片っぱしから読みあさり,痛みの個人差には,過去の痛み経験,性差,痛みの感作,情動系の神経回路,不安や恐怖などの心理的背景などが影響していると理解したとき,今までの臨床的疑問が,徐々に理解できるようになり嬉しく思いました。さらに,修士研究で,痛みを強く知覚する人は前頭前野の活動も高くなる可能性を示せたことは,私にとって大変貴重な経験となりました。その論文は,「日本物理療法学会会誌」に掲載される予定です。大城先生をはじめ,理学療法開発学の皆様には研究にご協力いただき誠にありがとうございました。この場を借りて,改めて御礼申し上げます。

大学院で学んだ知識や経験は,私の大きな財産となっていますが,卒業後の私のテーマは,その財産をどう臨床研究へ結びつけるかです。臨床研究では治療効果の検討が多くなされていますが,実際の臨床では理学療法士の技術や心のあり方,患者の状態によって,治療効果が全く違ってきます。岡田(2011)は,理学療法という形があるのではなく,現実は担当する理学療法士が,創造的かつ整理された思考を以て,患者と共に創りあげるものであるとしています。私はこの言葉に共感して,原点に立ち返り,一症例を深く考えることを心がけるようになりました。私は研究で示された結果が,どの程度効果があるのかを自分なりに再検討し,その成功・失敗体験を積み重ね,私なりの理学療法を開発していく必要があると考えています。知識を自分の経験に落とし込んでこそ,本当の理解や新たな疑問が生まれるのではないでしょうか。実際,大学院で学んだ論文レビューや統計学の知識を駆使して,症例検討すると今までにないほど多くの新しい気づきが得られます。その新しい気づきから出発し,理学療法のサイエンスに貢献できるように努力していきたいと思います。臨床現場に携わりながら,症例をまとめたり,研究したりすることは決して楽ではありませんが,皆様も自分の立ち位置で,世のため,人のために貢献できる理学療法士を目指していきましょう。

最後に,『奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき-』著:J.B.テイラーより,「未来の自分のためなら,今の自分を棄てる覚悟がある」。お勧めの本です。ご一読を!



引用文献: 岡田 亨;理学療法28(1).2011.pp6-10.

喜納 将克 (2011年3月 博士前期課程修了)

2012年7月8日日曜日

理学療法開発学の歓送迎会

7月7日に,理学療法開発学の歓送迎会が開催されました。参加者を代表してM2の鈴木祐介さん,そして新入生を代表してM1の佐野弘毅さんから感想をいただきました。

7月7日七夕,織姫と彦星が1年に1度だけ会うことを許された神秘的な日に,理学療法開発学の歓送迎会が行われました。

昨年度に修士課程を修了された先生方と,今年度から新たに修士・博士課程に御入学された先生方を中心に,在学中の院生やOBの先生方など多くの方々に集まっていただきました。
2時間半という短い時間でしたが,近況報告に始まり,研究や臨床の話,熱い議論など多くの会話が交わされ,とても楽しく有意義な会になったと思います。

私も多くの先生方とお話しをさせていただき,たくさん刺激を受けました。中でも,ある先生が現在の臨床・研究生活についてお話をして下さり,その先生の臨床と研究にかける熱い情熱を強く感じたことが印象に残っています。

私の院生生活もあと1年を切り,修士生活最後の夏を迎えようとしています。
より一層臨床と研究に熱い情熱を傾け,すぐそばに迫っている熱い夏を乗り切っていきたいと思います。
M2 鈴木 祐介

7月7日に行われた歓送迎会では,理学療法開発学領域に携わる多くの先生方のお話を聞く機会を持つことができ,非常に有意義な時間を過ごすことができました。

臨床と大学院生活が始まって早くも3カ月が経ちましたが,まだまだ基礎知識から不足している私にとって,先生方の臨床と研究生活のお話はとても勉強になりました。また,興味のある分野を究めるという素晴らしさと楽しさを感じることができました。

私も先生方のように自分の興味のある分野を熱く楽しく語れるよう,これからの臨床と大学院の日々を精一杯努力していきたいと思いました。今回の歓送迎会に出席させていただき,本当にありがとうございました。 
M1 佐野 弘毅
集合写真

大城教授と2011年度博士前期課程修了生(小松・合田・田中・山下)


2012年6月30日土曜日

日本睡眠学会第37回定期学術集会 参加報告

6月28~30日に開催された日本睡眠学会第37回定期学術集会(会場:パシフィコ横浜)で演題発表を行いました。

山下 裕太郎,大城 昌平
「大腿骨近位部骨折患者における,入院中の睡眠状況が精神・認知・運動機能に及ぼす影響

この学会は精神科やスリープクリニックなどの関係者が多くみられました。まだ睡眠学の分野では,リハビリテーションとの関心が薄く,研究もほとんどされていない現状を感じました。理学療法士が対象とする患者さんの治癒促進因子として,運動,栄養,睡眠が重要と考えています。今回のシンポジウムや他の演題発表でも裏付けられる部分があり,今後も理学療法士が睡眠に着目する必要性について,検討してきたいと思っています。

修了生  JA静岡厚生連遠州病院  山下 裕太郎

日本睡眠学会 (山下裕太郎)

2012年6月27日水曜日

第16回静岡県理学療法士学会 参加報告


6月24日,第16回静岡県理学療法士学会(HP)がアクトシティ浜松(浜松市)で開催されました。研究室メンバーが発表を行いました。発表演題名一覧(筆頭演者のみ)と発表者の感想を紹介します。また,修了生の矢島大輔さん(コミュニティホスピタル甲賀病院)が,座長をつとめました。


【発表演題名一覧】
O-20
山下裕太郎(修了生),大城昌平:大腿骨近位部骨折患者における,睡眠状態が精神・認知・運動機能へ及ぼす影響  -入院中から退院後の変化に着目して-

O-30
大杉紘徳(D3),栗田泰成,大城昌平:二重課題トレーニングによる前頭前野機能への効果

O-34
矢島大輔(修了生),大城昌平:教示条件が異なる荷重課題の運動学習

O-46
一之瀬大資(M2),大町かおり,栗田泰成,山下浩史,鈴木祐介:タンデム歩行中の上部体幹および骨盤の軌跡の特徴 -自然歩行との比較-

O-47
栗田泰成(修了生),大町かおり,山下浩史,鈴木祐介,一之瀬大資:立ち上がり動作における動作開始時の骨盤傾斜と座面高の影響 -一例による検討-

O-48
小松洋亮(修了生),大城昌平,新屋順子,岩瀬敏樹:健常者に対する足底振動刺激の効果 -重心と脳活動に与える影響-

O-50
鈴木祐介(M2),大町かおり,栗田泰成,山下浩史,一之瀬大資:健常者における閉眼時の歩行戦略 -一例による検討-

O-54
山下浩史(M2),大町かおり,栗田泰成,鈴木祐介,一之瀬大資:3次元動作解析を用いた最大呼吸時における部分的変化量の測定


【発表者の感想】
一之瀬大資(M2):今回の発表では自分の主張を伝える難しさを感じました。学会発表(特に口述発表)では論文のように見ている人のペースで読み返したりすることができません。限られた時間内での1回の発表でどのようにしたら自分の行なった研究をわかってもらえるのか,を今回の発表を経てより追求していく必要性を感じました。次の発表の際には,今回の経験を活かした研究活動,発表の準備,本番での発表を行ないたいです。

山下浩史(M2):今回,大学院での運動器理学療法特論の講義の中で,自らの疑問を大町かおり先生のご指導の下,3次元動作解析装置を使用して測定および解析を行い,演題発表にまでたどり着くことができました。修士研究とは異なる内容で,自分自身の良い経験となりました。今後も、素朴な疑問を大切にしていきたいと思います。最後に,この場をお借りして,大町先生や共同演者の方々に感謝申し上げます。

2012年6月17日日曜日

第12回日本赤ちゃん学会学術集会への参加報告


6月2日・3日に東京の玉川大学で開催されました『日本赤ちゃん学会学術集会』でポスター発表を行ってきました。

演題名:「aEEGを用いた早産児の睡眠発達の検討」
一之瀬大資,杉浦さやか,松井浩之,大城昌平,佐藤由里

本学会は非常に学際的であり,脳科学や発達心理学,工学,霊長類学,教育学,医学等さまざまな分野の研究者が参加しており,発表や講演も非常に幅広いものでした。そのため“赤ちゃん”や“発達”について多角的に考えることができる機会になりました。

発表に関しては,特に臨床現場で赤ちゃんや子どもと接している方やNICUで理学療法を行っている方などから質問やご意見を頂きました。また基礎研究者からは,『臨床をより良くするためにはどうしていけばいいのか』に関して現場で活動している私たちは求められていることを実感しました。

さらに多くの研究者の発表に触れ気付いたことは,どの研究者も『自分がどういう地点に立って研究をしているか(つまりどのような前提を置いているか),そしてどのような枠組みの中で考えているのか』を明確にしている点です。そのため筋道がわかりやすく,枠組みが明確な分,その後の議論も活発になっていました。

今回の発表で得た経験を今後の活動に活かしていきたいと思います。また発表にご協力いただいた多くの方にこの場を借りて感謝を述べたいと思います。ありがとうございました。

M2  一之瀬 大資
第12回日本赤ちゃん学会学術集会 (一之瀬)


2012年6月11日月曜日

修了生の声 [近況報告] (矢島)

リハビリテーション科学研究科修士課程1期修了生の矢島です。 大城教授より近況報告をせよとのお達しを頂き,この度ブログへ掲載する運びとなりました。

僕は現在の理学療法開発学の前身である発達・神経理学療法学において修士課程(博士前期)を修了致しました。院生生活は大変ではありましたが,大城教授の元でとても有意義な時間を過ごすことが出来ました。

現在は,昨年4月より焼津市にあります甲賀病院に勤務し,主に回復期病棟の開設に携わっております。今年4月には回復期リハビリ病棟100床を新築(回復期合計208床)し,綺麗で広く快適な病棟及び訓練室にてのびのび仕事をさせて頂いています。

また,研究活動についてはコツコツよりものんびりなコーツコーツぐらいですが,大城教授のご指導の元でなんとか継続しており,今月の静岡県理学療法士学会にて発表致します。本研究内容については,論文として聖隷クリストファー大学リハビリテーション科学ジャーナルへ投稿するため執筆中でもあります。是非,皆様からのご意見ご指導をお待ちしております。さらに,本学会では座長招聘も頂きましたので,若輩ながら活気ある学会になるように努力したいと思っています。

今後も,理学療法開発学の一員として恥じないような活動を行なっていきたいと思います。
 
矢島 大輔 (2008年3月 博士前期課程修了)

甲賀病院(1)

甲賀病院(2)

2012年6月5日火曜日

聖隷クリストファー大学リハビリテーション研究会で講師を務めました


2012年6月3日に,聖隷クリストファー大学リハビリテーション研究会(本校理学療法学専攻OB主催)の卒後研修会にて講師をさせて頂きました。

中枢神経系の捉え方~大脳病変における評価と治療①~というテーマの中で,「脳卒中と脳由来神経栄養因子」という話をしました。脳の可塑的変化を促すとされる脳由来神経栄養因子が,脳卒中からの機能回復に如何に関わるのかを近年の基礎研究を紹介しながら説明しました。

普段は認知症との関連で見ている脳由来神経栄養因子を,脳卒中との関連で調べることで新たな発見もありました。認知症のみではなく,脳卒中・うつ・肥満など様々な病気に関与する脳由来神経栄養因子に大きな可能性を感じます。今後も研究活動を続け,新たな知見を生み出し,外部へ発信していくことができるよう努力していきます。

最後にこのような機会を頂いたクリストファー研究会研修部の皆様に感謝申し上げます。


 D1 合田 明生

2012年6月2日土曜日

American Thoracic Society International Conferenceで発表しました

2012年5月18日~5月23日にアメリカ(サンフランシスコ)で開催されたAmerican Thoracic Society International Conferenceに参加し,臨床でおこなっている研究の成果を報告してきました。

言葉の壁はとても高かったですが,貴重な経験をすることができました。

このような経験をさせていただき周囲の人々に感謝・感謝です。

D3 本田 憲胤

2012年5月27日日曜日

第47回日本理学療法学術大会 参加報告

5月26日(金)~27日(日)に神戸で開催された第47回日本理学療法学術大会において,本研究室から3演題の発表を行いました。

「視覚情報の与え方の違いによる持ち上げ動作時の脳活動と体幹筋の活動に関する研究」
田中 俊輔,大城 昌平,横山 和彦,宮下 大典,栗田 貴史

「 睡眠時の体動と嚥下の関係性について」
山下 浩史,佐藤 慎,徳増 来斗,兼子 光治,鈴木 祐介,一之瀬 大資,大城 昌平

「NICU入院児の無気肺の改善に有効であった呼気圧迫法
 ―2症例の経験から―
本田 憲胤,大城 昌平,中野 美紀,阿部 薫,和田 紀久,福田 寛二

それでは,発表者の参加報告をお届けします。


[学会参加報告]
ポスター発表(田中)
5月25日~27日の3日間,第47回日本理学療法学術大会に参加し,「視覚情報の与え方の違いによる手指持ち上げ動作時の脳活動と体幹筋活動に関する研究」という演題でポスター発表をさせていただきました。その中のディスカッションでは,同じ分野を研究されている先生方から多くのアドバイスをいただくことができ,自分の中で反省点や今後の展望が明らかになりました。 
学会最終日の総括シンポジウムでは,専門職(プロフェッション)として努力と研鑽を重ね,日本におけるリハビリテーションの職域を確保するとともに,社会的・法的地位を確立しなければならない。ということをシンポジストが討論していました。プロフェッションという自覚を持ち,日々の研究・臨床活動に励み,日本社会が求めていることを成果として出していければと思いました。
修了生  菊川市立総合病院  田中 俊輔


[神戸での経験を励みに]
看板の前で(山下)
私も学術大会に参加させて頂き,「睡眠時の体動と嚥下の関係性について」という題目で発表して参りました。

大勢の聴衆を前に緊張しましたが,会場内から,質問や意見をいくつか頂くことができました。この経験を励みに,今後も頑張っていきたいと思います。今回,発表の機会を与えて頂いた大城先生をはじめ,共同演者の方々,測定にご協力して頂いた方々,測定場所を提供して頂いた遠州病院の関係者に,この場を借りて感謝申し上げます。
M2   山下 浩史


会場



2012年5月24日木曜日

修了生の声・特別編 [バトン] (儀間)

今回は,郡山健康科学専門学校の儀間裕貴先生にご寄稿いただきました。

理学療法開発学blogをご覧の皆さま,はじめまして。郡山健康科学専門学校の儀間と申します。前回の重森さんから“バトン”を受け,記事を投稿させていただきます。
学会発表
私は「新生児・乳児における自発運動および行動の客観的評価に関する研究」をテーマに,今年の3月に信州大学大学院総合工学系研究科で博士号(学術)を取得しました。博士後期課程に取り組むにあたり,理学療法開発学の大城教授には研究デザインからデータ解析手法,学会発表,論文作成まで本当に多くのご指導とご鞭撻を賜りました。また,理学療法開発学のメンバーの皆さまとは,多くの有意義な情報交換を行わせていただきました。この場をおかりして,深く御礼を申し上げます。現在は,脳障害を有するお子様の加速度データ集積に取り組んでおり,これを大学院課程で得た正常発達児における知見と比較することで,発達障害リスクの早期発見と発達障害児への早期介入へとつなげていきたいと考えております。
下肢自発運動の計測風景
学位授与式
前回の記事にて,重森さんが博士号の取得を“スタートライン”であると表現しています。正にその通りだと思います。博士号を取得したということは,何かを成しえたわけではなく,ひとりの研究者としての責任を背負ったということだと感じています。その責任とは,これまで積み上げられてきた知見に新しい知見を少しでも多く上積みし,次へとつないでいくことだと思います。そういった意味で研究活動は“リレー競技”であり,博士号の取得は“バトン”の受け取りであると表現できると思います。受け取ったバトンは,自分の手の中で色や形を変え,オリジナルのものとなっていきます。そのバトンを次の走者に渡すまでが研究活動であり,それが研究者としての役割だと思います。とは言っても,まだまだそんなに先のことを考える余裕が私にあるわけもなく,当然,渡せるようなバトンもまだ持ち合わせていません。今はただがむしゃらに走って,オリジナルのバトンを創りたいですね。この競技はきっと“ゴールのない400mハードルリレー”みたいなものです。私の場合,そんなにスピードも出せず,転んでばかりだと思いますが,バトンを落とさずに,周りの景色を楽しみながら走れるような心の余裕だけは持ちたいと思っています。走ることが社会貢献につながるのであれば,こんなに嬉しくて,こんなにやりがいを感じる仕事はないと思います。しっかりと走っていきたいですね。多くの仲間と。
 郡山健康科学専門学校 儀間裕貴

2012年5月16日水曜日

修了生の声 [スタートライン] (重森)


修了生の近況をお知らせします。
まずは,2010年度に博士後期課程を修了した重森健太さんです。

博士後期課程1期生の重森です。博士号を取得してから,はや1年以上が経過しました。現在は大阪府柏原市にある関西福祉科学大学で勤務しています。

大学院での研究テーマは「認知症の早期評価を目的としたMini-Mental State Examination(MMSE)の臨床活用に関する研究」でした。現在は,大学院で分析した認知症検査MMSEを軸にして,認知症者へのアプローチおよび認知症者の介護家族への勉強会,脳トレ塾を展開しています。大学院で提言した内容は,認知症者の家族から専門職まで幅広い層の方々から支持される価値有るものであり,確実に社会に貢献できていることを実感しています。そこで,近況報告も含めて,大学院終了後に展開している私の活動の一部を紹介させて頂きます。

1. 脳トレ塾
大学院で提言した内容をもとに,兵庫県たつの市をフィールドとして,脳トレ塾を開催しています。新しい脳トレーニングの考え方を活動から提言し,地域活動を通して認知症者を支えるための基盤を作っていきます。
「すこやか脳トレ塾」

2. ノルディックウォーキング教室
今後,有酸素運動は認知症予防における,中心的なトレーニングとして位置づけられます。私は,ノルディックウォーキングをその活動の一つにしたいと考え,少しずつ活動を展開し初めています。

ノルディックウォーキング教室
3. 介護家族支援
兵庫県たつの市にある「つどい場アンダンテ」にて,認知症者の介護家族を対象に勉強会を開催しています。認知症の原因や発生メカニズム,症状への対処方法やアプローチなどを介護家族が知ることで,介護負担感が軽減し,適切なケアにもつながるのではないかという思いで活動しています。

知ろう・学ぼう会
他にも施設との連携,市や他団体との協力体制なども少しずつ進めることができています。博士後期課程を経て思うことは,博士号を取得して初めてスタートラインに立つことができるということです。歩みを止めず,これからも社会に還元していきたいと思います。

重森 健太 (2011年3月 博士後期課程修了)


2012年5月7日月曜日

中国重慶の第三軍医大学と附属病院を訪問しました


5月の連休中に中国重慶の第三軍医大学と附属病院を訪問しました。

"The International Symposium of Burn Rehabilitation & Wound Healing"に出席して,小児リハビリテーションの招待講演と,新生児行動評価のセミナーを行ってきました。

中国は現在,リハビリテーション医学の分野でも大きな発展を遂げています。今後,当大学と大学との共同研究や臨床協力を進めていく予定です。今後の大きな展開が期待されます。(大城 昌平)

第三軍医大学附属 大坪病院にて

2012年4月12日木曜日

研究室に新しい仲間が加わりました

このたび,博士前期課程2名,博士後期課程2名が入学しました。
ホームページの院生プロフィールページを2012年度版に更新しています(理学療法開発学HP_院生プロフィール)。
博士前期課程:佐野さん,野末さん

博士後期課程:佐藤さん,合田さん



2012年3月13日火曜日

理学療法開発学博士前期課程の4名に学位(リハビリテーション科学修士)授与

おめでとうございます。博士前期課程の4名に修士の学位が授与されました。この2年間の道のりは,日々の臨床との狭間で大変厳しい研鑚の日々であったと思います。各自が真摯に研究テーマに取り組まれ,また互いに励まし合って,挫折することなくこの日を迎えられたことに敬意を表します。この間学ばれた科学的態度と研究方法,そして研究成果を日々の臨床に活かし,さらに発展されることを心よりお祈り申し上げます。(大城 昌平)

【研究論文タイトル】
小松洋亮 氏:健常者と人工股関節全置換術施行患者に対する一側足底振動刺激の効果の検討-重心と脳血流反応に与える影響-
合田明生 氏:ヒトの中強度有酸素運動による脳由来神経栄養因子の反応に関する研究
田中俊輔 氏:視覚情報の与え方の違いによる手指持ち上げ動作時の脳活動と体幹筋活動に関する研究
山下裕太郎 氏:大腿骨近位部骨折患者における睡眠状態と精神・認知・運動機能の回復に関する研究
教員と修了生集合写真
理学療法開発学修了生